2度目の初恋も、君とがいい
「お粥が出来上がったから寝てる永人を起こしにいったの」


「うん」


「寝ぼけてる永人が、あたしの腕を引っ張って……永人があたしの上にいて……」



ほら、鮮明に頭に浮かび上がる。
昨日、あんなに近くに永人がいたのは初めてだった。



「……それって」


「避けようとしてたんだけど、気がついたら軽く唇に触れてて……あたしファーストキスだった」



改めて口にすると、やっぱり恥ずかしくて。
顔が真っ赤になってるんだろうなってわかる。



「永人が嫌になったとかではないんだよね?」


「……うん」



永人のこと、嫌いになんかならない。
ただ、どうしたらいいかわからないだけ。



「永人だけ何も知らないのはおかしいと思う」



拳を握りしめる日奈子。



「え?」


「言っきてもいい?」


「え?」



日奈子の言葉にさっきから同じ返事しかできない。



「千花はいまは永人の顔まともに見れないだろうし、ここにいてもいい。授業だってなんとかごまかすから」


「う、うん……」



永人が知ったら、彼はどう思うのかな。
責任を感じて、あたしから離れていくのはいやだ。

永人のことちゃんと見れないくせに、永人が隣からいなくなるのは嫌なんだ。

< 79 / 235 >

この作品をシェア

pagetop