2度目の初恋も、君とがいい
「永人、大丈夫?」



小学生のころのことを思い出してると、日奈子が怪訝な顔で聞いてくる。



「あぁ……悪ぃ。で?俺が起きたってなに?」



夢の中で、小学生だった千花とキスしてた。
でも、現実には告白して振られてるしそんな経験はないから。
俺のただの妄想なんだよな。

ただ、そんな夢を見たのは千花が〝草野くんから聞いた〟なんて言い出すから。

俺が小学生のときに告白した話もしたのかと思って正直、焦った。



「あんた……寝ぼけて、千花にキスしたって」


「……っ、は!?」



日奈子の言葉に頭を鈍器で殴られたようになる。

……キス?
あれは、小学生の頃の千花とした夢じゃなかった……?



「記憶にないとかほんと失礼よね」


「いや……ごめん、話が見えねぇ」



男が苦手な千花にキスした俺は、嫌われて当然だった。



「千花、ファーストキスだったって悩んでるけど」


「……マジか」



──ファーストキス。
それはこの前の登山合宿だけど。



「あんたよくも2回も千花にキスしたわね」


「……っ、は!?」



日奈子の口から飛び出た、ありえない言葉に俺は日奈子の腕を掴む。

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