2度目の初恋も、君とがいい
「中学のときは受け入れてくれたのに」


「なっ……それは……っ」


「……っ」



中から聞こえる声に、思わず後ずさりをしてしまう。

〝受け入れてくれた〟ってことは、中にいる女の子は永人の元カノってわけで。
女嫌いだった永人が受け入れたってことは、好きな子だったわけで。

永人に好きな子なんかいてほしくなかった。
そんな勝手な思いがあたしの中で湧いてきて、思わず持っていた入れ物が手から滑り落ちる。



「あ……」



滑り落ちてしまったおかげで、ペンキが廊下を伝う。



「……千花」



容器が落ちた音に反応して、外の様子を伺いにきたのだろう。
永人が、ペンキの流れる方向を目で追ってる。

あたしのことを見ないのは、話を聞かれていたと思ってるからなのかな。

嘘の恋人だっただけで、本当の元カノなんかじゃないから気にする必要ないのに。

……一番気にしてるのはあたしだけど。



「ほら、拭けよ」



一瞬、教室に戻っていた永人に雑巾を投げつけられる。

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