夢探偵
「ゴキブリ~~!!」
そのけたたましい叫びで目が覚めた。
「獏様、、獏様、、」
怖いくらいの形相で俺を揺すっているのは、お手伝いの智子だ。
智子、、名前は可愛いが、実際は60を超える婆さんだ。
いつも着物を着ていて古風、時折足音も立てずに背後に立たれるのには
驚かされる。
「ん~、、どうしたんですか?大きな声出して、、」
獏はだるそうに言った。そしてベットの横にいつも置いているペンを取り
ノートに今見ていた夢の内容を忘れないうちに書きとめた。
「獏様!!そんな事は後にして! 大変なんです!」
「どーしたの、、?」
「この美しく気品あふれる大切なお屋敷に、な、なんとゴキブリめが出たのです!」
お手伝いは 獏の反応の鈍さに少々いらだちながら言った。
「ゴキブリくらい出るでしょう、古い屋敷だし、、それより夢を忘れないうちに
ノートに書き留めないと、、」
「分かりました!獏様がそのような態度をとられるなら、、私にも考えがございます。」
そう言うとお手伝いの智子は着物を正して
「どうするの?」
獏が聞くと、
「私がゴキブリめと戦います!」
「そう、、頑張ってね、、」
獏は横目でお手伝いの後姿を見ながらも、見た夢を書き留めていた。
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