極上社長と結婚恋愛
「今のところ、大丈夫ですよ」
「棚を増やしたかったりなにかすることがあったら遠慮なく言ってください」
ぶっきらぼうな口調の工藤さんの気づかいをありがたく感じながら切り出した。
「工藤さん、もしかして素材を無料でお譲りするの、逆に気をつかいますか?」
「え?」
私の言葉に、工藤さんが軽く顔をしかめてこちらを振り返る。
「なんだかお菓子を差し入れてもらったり、こうやって棚を作ってもらったり、気を使わせてしまっているなら申し訳ないなって」
「……迷惑ですか?」
ぼそりとつぶやかれた言葉に、かぶりを振る。
「まさか! いつも助かってます」
私がそう言うと、工藤さんはほっとしたように肩を下ろした。そして通りに面した大きな窓を見上げる。
「……ロールカーテン」
「はい?」
よく聞こえなくて聞き返すと、窓の上につけられたベージュのロールカーテンを指さした。
「ロールカーテン付けたんですね」
「はい。閉店後も店内が丸見えなのは不用心かなと思って」
直哉さんのアドバイスでとりつけたカーテンだ。