極上社長と結婚恋愛
 

閉店後はカーテンを下ろし、店内が見えないようにしている。
最初は過保護だな、なんて思っていたけど、お客さんにとっても営業中か休みなのか、外から一目でわかって便利になった。

「へぇ……」

なにか考え込むように黙った工藤さんに、小さく首をかしげているとまたドアベルが鳴り扉が開いた。

「いらっしゃいませ」

声をかけると入ってきたのは直哉さんだった。

「あ、直哉さん」
「写真、撮りに来たよ」

カメラが入ったバッグを持ち上げて見せた直哉さんが、店内にいた工藤さんに目を止めわずかに眉を顰める。

「もしかして前に言ってた、木工作家さん?」

顔をしかめたのは一瞬ですぐに微笑みを浮かべた直哉さんに「そうです」とうなずくと、工藤さんも直哉さんに向き直る。

「いつもお世話になってるみたいで、ありがとうございます」
「いえ……」

にこやかな直哉さんに、工藤さんが短く言って顔をそらした。


 
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