極上社長と結婚恋愛
 

「ええと、工藤さんこちらは……」
「あずさちゃんと一緒に暮らしています、都倉です」

私の言葉を遮って直哉さんがそう言うと、工藤さんが私と直哉さんを見比べる。

「一緒に暮らしてるって……」

確かにそうだけど、なんだか語弊がある気がする。
慌てて私が直哉さんの顔を見ると、にっこりと微笑まれ困ってしまう。

すると、工藤さんが「そうですか」とぽつりとつぶやいた。

「じゃあ、また来ます」

うつむきがちにそう言って、お店を出て行った工藤さんを見送ってから、小さく息を吐いた。

「直哉さん、なんだか今の言い方は色々誤解を生みそうな気がするんですけど」

きっと工藤さんは私たちを恋人同士だと勘違いしてそうだ。

「わざと紛らわしい言い方した」
「わざと?」
「ごめんね、大人げなくて」

意味深に微笑まれ、その意味を悟る。
さりげない独占欲を匂わされて、頬が赤くなってしまう。

どうしよう。
そんな風に言われて困っているのに、心のどこかで嬉しいとも感じてしまう。

 
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