極上社長と結婚恋愛
「もう写真撮っても大丈夫?」
「あ、今撮影用の花束を仕上げている最中なので、ちょっと待ってもらってもいいですか?」
「じゃあ、外観を先に撮ってるよ」
お願いしますと頭を下げて、作りかけのアレンジに向き合う。
メインの花だけでなく、合わせるグリーンもバリエーションを出したいなと思いながら、ふわふわのネコヤナギや多肉植物のエケベリア、つややかな実がかわいらしいヒペリカムなんかを選んでいく。
真剣に花のバランスを見ていると、不意に視線を感じて顔をあげた。
お店の外観を撮り終えたのか、いつの間にか直哉さんがすぐそばでカメラを構えていた。
私が驚いてびくりと飛び上がると同時にシャッターを切る。
「わ、なに撮ってるんですか!」
「今の顔、かわいかったから」
顔をしかめると、直哉さんは悪びれもせずに笑う。
「絶対かわいくないです。思い切り変な顔してましたよ」
「大丈夫。誰にも見せないから」
誰にも見せられないような変な顔を、なんでわざわざ撮るかな。
意地悪な直哉さんに、これみよがしなため息をつく。