極上社長と結婚恋愛
 




ひさしぶりに会った夏美とたっぷり語りつくし、家路についたときにはもう日が落ちていた。



玄関の鍵を開けると、大きな靴があるのに気づく。
直哉さん、もう帰ってるんだ。

慌てて靴を脱ぎ、リビングへ入る。するとダイニングテーブルに直哉さんの姿があった。
見覚えのある男の人とふたりで、なにか話し合っているようだ。

「あ。おかえり、あずさちゃん」

扉が開いたことに気づいて、直哉さんがこちらをふりかえる。

「ただいま帰りました」

頭を下げた私に、直哉さんの向かいに座る野性的な印象の黒髪の男の人がぽつりとつぶやく。

「これが妹か」

不愛想で冷たそうな、でも綺麗な顔立ちの男の人。
どこかで見たと思ったら、前に配達に行ったときに社長室に入ってきた人だ、と思い出す。

「あずさちゃん、こいつ失礼でごめんね」
「いえ。妹のあずさです」

苦笑いする直哉さんに首を振ってから、男の人に頭を下げる。


 
< 132 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop