極上社長と結婚恋愛
上質なオーガニックの成分が私の体質に合ったのか、それとも直哉さんの丁寧な塗り方がいいのか、ガサガサだった手に少しずつ潤いが戻ってきた気がする。
おずおずと右手を差し出した私の顔を見て、直哉さんが小さく肩を上げた。
「まだ緊張してる」
「そりゃ、緊張しますよ」
「ハンドクリームを塗ってあげるだけなのに」
笑いながらハンドクリームを手のひらに出し、私の手を取る。
指の付け根から指先へ、優しくなぞられて肩がぴくんと飛び跳ねてしまう。
「……っ」
思わずもれた吐息が恥ずかしくて唇を噛むと、柔らかく甘い視線に見据えられ、さらに体温が上がっていく。
「早く俺に触れられるのに慣れてほしいけど、こうやって触られるだけで真っ赤になるのも、かわいいよね」
「だから、そうやってからかわないでください」
左手の甲で口元を隠しながら睨むと、「ははっ」と直哉さんが破顔した。
「からかってないよ。あずさちゃんがかわいくて仕方ないだけ」
そんなとんでもないことを言いながら、指をからませ手をつながれる。