極上社長と結婚恋愛
花開いたライラック
サンプルで作ったブーケが気に入ってもらえれば、ウエディングの仕事ができるようになるかもしれない。
そう思うと毎日ブーケのことで頭がいっぱいになってしまった。
せっかくのチャンスなんだから、自分で最高だと思えるものを作りたい。
そんな気持ちがプレッシャーになっていく。
お店が終わってから家でひとりブーケのアイデアを考えながらうなっていると、仕事を早めに終えた直哉さんが連れ出してくれた。
「部屋に籠ってそんな険しい顔で考え込んでいたら、煮詰まっちゃうだろ」
そう言って車に乗せられ連れていかれたのは、ひと気のない夜の庭園だった。
ビルが立ち並ぶ都心の中に魔法で現れたオアシスのような幻想的なその場所に、私は驚いて目を見張る。
「ここは……?」
「もうすぐオープンする予定のホテルの中庭だよ。まだ一般には開放されていないけどね」
そう言われ見回せば、その庭の前にはホテルらしき美しい建物が建っていた。