極上社長と結婚恋愛
数えきれないくらいのライラックひとつひとつに針金をつける作業を繰り返し、少し疲れて手を止める。
顔をあげれば向かいに座る夏美も、私と同じように手を止め「ふーっ」と息を吐いていた。
「ごめんね、夏美。手伝ってもらっちゃって」
「ううん。こういう細かい作業、好きだから楽しい」
明るく笑ってくれる夏美に、「ありがとう」と頭をさげる。
私が夢だったウエディングブーケの仕事ができるかもしれない、と報告すると、夏美は自分のことにように喜んでくれて、ぜひ手伝いたいと言ってくれた。
そしてお互い休みだった木曜に、さっそく作業を手伝いにきれくれた。
「それにしても、本当に豪華な部屋だよね。ここであずさは毎日あのイケメン社長と暮らしてるのかぁ」
夏美は大きく伸びをしながら背中をそらし、広いリビングを見渡す。
「直哉さん、もうすぐ帰ってくると思うよ」
「本当? なんか緊張する」
たった今までのびのびと背筋を伸ばしていたくせに、急にかしこまって椅子に座りなおす夏美に苦笑していると、ちょうど玄関で物音がした。