極上社長と結婚恋愛
 

直哉さんは仕事から帰ってきて疲れてるのに、と言いかけると、長い指が私の唇に触れ言葉を遮られる。
びっくりして瞬きをしているうちに、直哉さんはキッチンで手を洗い始めた。

「なんか、すごく仲がいいんだね」

そのやりとりを見ていた夏美がくすくすと笑う。
なんだか恥ずかしくて、責められてるわけでもないのに「兄妹だから」と言い訳しながら椅子に座りなおした。

「夏美ちゃん、甘いものは好き?」

キッチンでお湯を沸かす直哉さんがそう問う。

「大好きです」
「よかった」

直哉さんは夏美の即答に笑いながら、箱の中からかわいらしいカップケーキを取り出しお皿に移す。

「かわいい!」

淡い色のクリームの上にカラフルなスプリンクルがデコレーションされたカップケーキに、思わず夏美とふたりで歓声を上げる。

「どうぞ」

温かい紅茶と一緒に並べられ、「ありがとうございます」と頭を下げた。

「それにしても、すごいね。こんなに細かいんだ」

カップケーキを食べるために、テーブルの端によせた小さなライラックのドライフラワーを見て直哉さんがため息をつく。


< 152 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop