極上社長と結婚恋愛
 

「直哉さん……?」

目を丸くした私に向かって苦笑いをする直哉さんは、どこからどうみても花婿の格好で私は混乱して目を瞬かせる。

「桜木さんに口説かれて、着せられた」
「口説かれたって……」
「ブーケを花嫁が持つなら、ブートニアをつける花婿も必要だろって」

見れば、直哉さんの胸元には私が作ったブートニアがしっかり飾られていた。

ガーデニアとライラック、オーガンジーのリボンで作ったブートニアは、長身でスタイルのいい直哉さんの胸元に映えてとても素敵だ。

思わず見惚れていると、直哉さんが軽く首をかしげてこちらを見下ろす。

「俺が花婿役じゃ不満かもしれないけど、あずさちゃんの隣に立ってもいい?」

その眼差しが色っぽくて、思い切り首をぶんぶんと横に振る。

「不満なんて、あるわけないです!」

私が力いっぱい言うと、直哉さんが「ははっ」と整った顔を崩して笑った。


 
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