極上社長と結婚恋愛
 

落ち着こうと深呼吸をしていると、直哉さんがこちらに手を差し伸べた。

「おいで」

そっと手のひらを重ねると、力強くぎゅっと握られた。

見上げれば、男らしく精悍な横顔。
タキシード姿の直哉さんはいつもよりもさらに色っぽくて、見ているだけでドキドキしてしまう。

直哉さんに好きだと言われた日から、じわじわと胸の中の水位が上がるように想いはつのるばかりだった。
少し胸が苦しいのに、幸せで温かい気持ち。

今までの私は、勇気がなくて好きだと言ってくれた直哉さんに素直に答えることができなかった。付き合う前から、最悪なケースを想像しておびえてばかりいた。

でも直哉さんの優しさと温かさでゆっくりと芽吹いて花開くように、純粋に好きという気持ちでいっぱいになっていた。

どうしても伝えたくて仕方ないこの衝動は、もしかしたらウエディングドレスとブーケの魔法かもしれない。

今、伝えたい。
なんの気負いもなく、素直にそう思えた。


 

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