極上社長と結婚恋愛
 


私が立ち止まると、直哉さんが不思議そうにふりかえる。私に向かって小さく首を傾げ、瞬きをする。

「あの、直哉さん……」

私はごくりと息をのみ口を開いた。

「私、直哉さんのことが好きです」

唐突な私の言葉に、直哉さんが綺麗な目を見開きぱちぱちと瞬きをする。

「本当に?」

こちらに体を向け、正面からそう問われる。
私が少し緊張しながら頷くと、整った顔がふわりと甘くほどけた。

その瞬間、私の足が床から浮いた。
驚いて瞬きをすると、私は直哉さんの腕の中に抱き上げられていた。

こんなふうに男の人に抱き上げられるなんてはじめてで、慌てて直哉さんの首にしがみつきたくましい肩に顔を埋めると耳元で甘く笑われた。

「ようやく好きって言ってくれた」

直哉さんの分かり切っていたような口調に、不思議に思って瞬きをして顔を上げる。

「ようやくって、どういう意味ですか?」

戸惑いながら問うと、にっこりとした微笑みが返ってきた。


 
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