極上社長と結婚恋愛
 

カランとドアベルがなり顔を上げると、常連の工藤さんがお店に入ってきた。

「あ、工藤さんこんにちは。ドライフラワーの枝、用意してあるので持ってきますね」

私が手を止めそう言うと、工藤さんは無言で小さく会釈する。そしてお店の中を見回した。

「これ……」

ぐるりと店の中に走らせた視線が、壁に取り付けられた飾り棚の上で止まる。
そこにはいくつかの写真立てが並んでいた。

「ドレスを着てるの、福原さんですか?」

ウエディングブーケのサンプル用に撮った写真だ。
お店に来るお客さんにも興味をもってもらえたらいいんじゃない?という直哉さんの提案で、いくつかブーケの写真を飾ってあった。

顔がはっきり映っているわけではないけど、ヘッドドレスをわかりやすく撮影した写真を見れば、ドレスを着ているのは私だと分かってしまって少し照れくさい。

「そうなんです」

頷くと、工藤さんの視線が写真から私へと移った。その表情が硬さに少し驚いて息をのむ。


 
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