極上社長と結婚恋愛
 


ビジネス街にあり、土日はあまり忙しくない私のお店も、物日は別だった。
五月の第二日曜。お盆やクリスマスに並んで花屋がもっとも賑わう、母の日だ。



数日前から準備していたフラワーアレンジやミニブーケが飛ぶように売れていき、売り上げはいつもの何倍にもなる。

ひとりでやっている小さな店とはいえ、普段とは比べ物にならないお客さんの数に、必死になりながらお花を売る。

母の日の前日の土曜日をなんとか乗り切り、お店でぐったりとしているとコツコツと通りに面した窓が叩かれた。

ロールカーテンを下げているから人影が見えずに、首をかしげながらドアを開けると、そこには直哉さんが立っていた。

「あ、直哉さん」
「お疲れ様」

そう言って笑うと、直哉さんは手にした紙袋をかかげてみせた。


 
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