極上社長と結婚恋愛
「忙しくて、ちゃんと食べてないんじゃないかと思って」
直哉さんをお店に招き入れドアを閉めると、紙袋の中からなにかを出してレジカウンターに並べ始めた。
なんだろうと手元を見ると、パンやキッシュやサンドイッチ。カップに入ったサラダやスープ。
「わざわざ買ってきてくれたんですか?」
驚いて目を見開くと、優しくうなずいてくれる。
「本当は美味しいものを食べに連れ出してあげたかったけど、きっとまだお店で作業が残ってるんだろうなと思って、食べやすいパンにしてみた」
「ありがとうございます」
高級なレストランよりも、直哉さんが私のために持ってきてくれたその気持ちがうれしい。
「忙しい時期が終わったら、ゆっくり食事に行こうね」
直哉さんは言いながら、ホウレン草やトマトが入ったキッシュを持ち上げる。
「はい」
「はいって……」
口元に差し出され戸惑いながら直哉さんを見ると、にっこりと微笑まれる。