極上社長と結婚恋愛
 

雨……? 建物の中なのに?

そう思って何気なく上を見ると、球状の天井に銀色の小さな雨が見えた。
まるで夜空から星が流れるように、細かな雨粒が光ながら落ちてくる映像が、天井や壁や柱に映し出されていた。

「わぁ……!」

その美しさに思わず息をのむ。
言葉をなくし立ち尽くす私の隣で、お義父さんが小さな声で教えてくれる。

「プロジェクションマッピングってやつだよ」
「もしかして……」
「そう、直哉の仕事だ」

そう言ったお義父さんの視線の先を追えば、ロビーに設置されたプロジェクターの陰でなにか何人かのスタッフとやりとりをする直哉さんの姿が見えた。

「直哉さん、こんなにすごいものを作ってるんですね……」

いつの間にか映像の雨はやみ、天井には満点の星空が映っていた。
白く浮かび上がる天の川に、こと座のベガとわし座のアルタイル。

時々流れ星が光り、ロビーにいるひとたちが小さな歓声を上げる。


 
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