極上社長と結婚恋愛
 

「私の建設会社から、子会社として独立してこうやって会社を大きくするまで、直哉も相当苦労したんだよ」

夢中で上を見ているとぽつりとそう言われ、視線をお義父さんに向けた。

「苦労、ですか?」
「経営陣からは社長の息子のくせに本社を継がないのかと不満を言われ、一般の社員からは社長の息子だから優遇されてとやっかまれ、その中で新しい分野の会社を立ち上げ成長させるのはものすごいプレッシャーだったと思うよ」

いつも穏やかで余裕のある直哉さんも、不安だったんだろうか。
そう思いながら、暗闇の中直哉さんの姿を見つめる。

「さっきあずさちゃんは、降ってわいたような幸運って言っただろう?」

お義父さんは楽しげに天井を見上げながら言った。

いつの間にか星空に美しい月がのぼっていた。
時折綺麗な赤い楓の葉がふわりと視界を横切っていく。

梅雨の雨から夏の星空、そして秋の紅葉と中秋の名月。日本の四季を表しているんだと気づく。


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