極上社長と結婚恋愛
その場にいた人たちが、「わぁ……」と歓声を上げる。
見上げれば、満開の桜があった。
天井が桜の花びらでピンクに染まっていた。
何千本もの桜の木を、下から見上げているような圧巻の美しさ。
そして舞い落ちる桜の花びら。
思わず見惚れていると、お義父さんに優しく微笑みかけられた。
「お店の問題も、考え方を変えれば簡単に解決策が見つかるかもしれないよ」
「考え方、ですか……?」
はらはらと花びらが散り天井を埋め尽くす桜が消えると、あちこちから夢からさめたようなため息が漏れた。
そしてどこからともなく拍手がおこる。
ロビーの照明がゆっくりと明るくなり、さっきまでの景色に戻るともういちど大きな歓声と拍手の嵐がおこった。
ホテルのオーナーらしき外国人の男性がマイクを持って現れると、詰めかけていたマスコミが一気にカメラのシャッターを押した。
「大成功だね」
直哉さんの仕事を見届けたお義父さんは、満足そうに言う。