極上社長と結婚恋愛
 

社長って、直哉さんが結婚……?

聞こえてきた会話の内容に、驚きで体が冷えていく。
体をこわばらせた私に、受話器を置いた受付の女性が静かな声で言った。

「申し訳ありませんが、社長室にお通しできません」
「え……?」

さっきの会話のショックをひきずったまま、意味が分からず瞬きをする。

「秘書からお断りをするように言われましたので」

直哉さんの隣に寄り添う、長身の美しい秘書の女性の姿を思い出す。

ちゃんと直哉さんと約束をしてあったのに、断られるなんてどうして。
混乱してなんと言っていいのかわからずに立ち尽くす。

落ち着け、自分。
ガーデニアの調子を見てくれって頼まれたんだから、直哉さんに直接電話をして、約束してあったことを秘書や受付の人に話してもらえばいい。

だけど、結婚ってどういうこと……?

さっき聞いてしまった会話が耳から離れなくて、冷たくなった指先が震えた。


 
< 213 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop