極上社長と結婚恋愛
「すみません。ご迷惑ばかりかけて……」
「迷惑なわけ、ないだろう」
言いかけた言葉を遮られた。
「腹を立ててるのは、自分にだよ。兄としてあずさちゃんを守るって晴美さんと約束をして一緒に暮らしていたのに、きみに無理をさせてひとりでお店に泊まらせて、その上こんな怖い思いをさせて、ごめん」
「直哉さんのせいじゃないです。私が直哉さんのそばにいたら仕事に集中できないと思ったから」
「俺の存在は邪魔だった?」
抱きしめた腕をわずかに緩め、私の顔をのぞきこんでそう問う。
その真剣な表情に、慌てて首を横に振る。
「ただ、不安だったんです。会社で、直哉さんが結婚するって聞いたから……」
「結婚?」
私の言葉に直哉さんが眉をひそめた。
「副社長の緒方さんも言ってました。日曜日にもう両親への挨拶もすませたって。だから、もしかして直哉さんは私のことは妹として好きだって言ってくれただけで、ほかにちゃんと結婚を約束した女の人がいるのかなって。それを確認するのが怖くて……」