極上社長と結婚恋愛
私がうつむきながら言うと、肩を抱いていた手が離れた。自由になった肩が、やけにさみしく心細く感じてしまう。
答えを聞くのが怖くて、ひざの上でぎゅっと両手をにぎりしめると、その手に大きな手が優しく重なった。
「すごい勘違いだね。それ、あずさちゃんのことだよ」
あきれたような笑いを含んだ声に、驚いて顔を上げる。視線で「本当に?」と問いかけると、直哉さんは柔らかく微笑んで頷いた。
「兄として一緒に暮らしている責任があるのに、好きになったからって簡単に手を出せないから、ちゃんと晴美さんに挨拶をして許しをもらってきたんだよ。本当はもっと早く行きたかったけど、ホテルのオープニングイベントで忙しくて時間がとれなくて」
「そ、そうなんですか……?」
「俺はそんなに信用できない?」
分かっていて問いかける意地悪な表情がぞくっとするほど色っぽくて、勝手に頬が熱くなっていく。