極上社長と結婚恋愛
しかもさらも困るのは、直哉さんの腕の中はドキドキするのに居心地がいいことだ。
このまま抱きしめられたまま、うとうととまどろんでいたくなる。
ふたりとも一緒のお休みだったら、こうやってのんびりしていられるのにな。
でもそんなわけにはいかなくて、起きなきゃと自分に言い聞かせる。
「直哉さん、離してください」
トントン、と直哉さんの腕を叩いて小さな声でお願いすると、逆に腕に力が籠められた。
ぎゅっと強く抱きしめられて、しかもその手が私の肌の上でゆるく動き出す。
「な、直哉さん……っ」
パジャマの隙間から入り込んできた長い指に腰骨のあたりをなぞられて、思わず体が飛び跳ねる。
涙目で名前を呼ぶと、ようやく直哉さんの目が開いた。
まだ覚醒しきっていないのか、直哉さんは腕の中にいる私を見下ろし瞬きをする。