極上社長と結婚恋愛
「おはよう、あずさちゃん」
柔らかい笑顔。少しかすれた声。乱れた髪。
その寝起きの色っぽさはずるい。
心の中でそう文句をいいながら「おはようございます」とぎこちないあいさつを返す。
「もう起きる時間?」
「今日は日曜日だから、直哉さんはゆっくりしててください」
私だけベッドから起き上がろうとすると、直哉さんも一緒に体を起こした。
「俺も起きるよ」
せっかくのお休みなんだから、のんびり寝坊しててもいいのに。
そう言おうと思った唇を、短いキスでふさがれる。
猫が鼻先をよせるような、一瞬触れるだけのキス。
唇に残った温かさに驚いて瞬きをする。
なにをされたのかようやく自覚して私の顔が真っ赤になるころには、直哉さんはすでに立ち上がり私を見下ろして楽しげに笑っていた。