極上社長と結婚恋愛
きっと私より少し年上の人かな、なんて電話の相手を想像しながらうなずいた。
「観葉植物ですね。どういったものがよろしいですか?」
小さな店だから場所を取らない切り花がメインで、置いてある鉢物は多くない。
今すぐ出せるのはユッカかサンスベリアか……なんて考えながら、身に着けたダークグリーンのエプロンのポケットからボールペンとメモを取り出す。
『植物のことはあんまり詳しくないんだけど』
その人はそう言って、少し思案するように黙り込んだ。
『そういえば、店名のガーデニアって花の名前なんですか?』
思いついたように言った彼に、少し驚きながらうなずく。
「はい。八重咲きのクチナシの名前です」
『その鉢植えは置いてるんですか?』
「あるにはありますが、もともと庭木で室内用の観葉植物ではないので……」
戸惑いながら答えると、『それをお願いします』と穏やかだけどしっかりした口調で言う。