極上社長と結婚恋愛
 

最後の部屋の扉を開けて、直哉さんがこちらを振り返った。

「ここが、あずさちゃんの部屋だよ」

その部屋は十畳以上ある日当たりのいい洋室。
ベッドに大きな備え付けのウォーキングクローゼット。パソコンデスクにテレビまで用意されていて驚く。

前もって運び込んでもらった私の荷物が、綺麗に収納されていた。

「ちょっと狭いかな。あっちの広いほうがいい?」

なんて、主寝室を譲ろうとする直哉さんに慌てて首を横に振る。

「十分です! ここで大丈夫です!」

ウォーキングクローゼット部分を合わせたら、この部屋だけで私が借りようと考えていたワンルームマンションと同じくらいの広さがある。

「えっと、直哉さんこれからよろしくお願いします」
「うん、こちらこそよろしく。仲良くしようね」

おずおずと頭を下げた私に、直哉さんが柔らかく笑う。

「俺たちは兄妹で家族なんだから、気を使ったり遠慮しなくていいからね」

その優しい声に少しほっとして顔を上げると、直哉さんの足が一歩こちらに踏み出された。

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