極上社長と結婚恋愛
「一緒に住むから、一応ある程度把握しておきたいんだけど……」
広い歩幅にその分ふたりの体が近づく。思わず私も一歩下がると、また直哉さんが一歩進む。
「えっと、把握ってなにをですか?」
困惑しながら顔を上げれば、直哉さんがにっこりと笑ってまた一歩距離を詰めてくる。
「直哉さん……?」
じりじりと後ずさると、足がなにかにぶつかった。
部屋に置かれたパソコンデスクだ。
これ以上は後ろに進めなくて、後ろ手にデスクに掴まり戸惑いながら直哉さんの顔を見上げる。
「あずさちゃん、こうやって近づかれるのは怖い?」
直哉さんが片手を私の背後のデスクに付き、上から私の顔を覗き込む。
整った顔が近くて、頬が勝手に熱くなる。その熱を振り払うように、勢いよく首を横に振った。
「いえ、怖くは……。でも、どうしていいのか分からなくて困ってます」
眉を下げて正直に答えると、直哉さんの視線に柔らかい笑みが浮かぶ。
「慣れないから、戸惑ってるだけだね。じゃあ触れられるのは嫌?」
その質問に、口ごもる。