極上社長と結婚恋愛
 
『――なんだよその反応! 俺のことを、汚いとでも思ってんのかよ!!』

もともと男の人に触れられるのが苦手だったけれど、それからますます怖くなった。
触れられることではなく、自分の反応が相手を不快な気持ちにさせ怒らせてしまうことが。

そして恋愛をさけ仕事に打ち込んでいるうちに、十年たった今でも男の人が苦手なままだ。

「そっか。あずさちゃんは優しいね。相手に嫌な思いをさせたくないから触れられるのが苦手になっちゃったんだ」

そんな幼稚で情けない私を、直哉さんはバカにすることなく肯定してくれた。
ふわっと胸が温かくなる。

「じゃあ、触れられること自体は嫌じゃないんだね?」
「はい」

頷くと、直哉さんがふわりと笑った。優しく包み込むような笑み。

「触ってもいい?」

そう問われ、小さく頷く。

「はい、触ってほしいです」

勇気を出してそう言うと、直哉さんの整った顔がくしゃりと崩れた。

「ちょっと、そのセリフはぐっと来た」
「え……?」

戸惑いながら視線をあげると、長い指が伸びてきた。

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