極上社長と結婚恋愛
 

こちらの表情を伺うように、指の背で私の頬にそっと触れる。
その感触に、肩がぴくりと飛び跳ねてしまう。
ぎゅっと目をつぶって身を固くしたけれど、触れられた頬がじわじわと熱くなった。

優しく頬を撫で上げた指が離れていく。
恐る恐る目を開けると、直哉さんが少し困ったように眉を下げて笑っていた。

やっぱり、私が変な反応をするから気を悪くしてしまったかな。と不安になって見上げていると、ぽんと頭を撫でられた。

「困ったね。想像以上に反応がかわいくて」
「直哉さん……?」

言葉の意味がわからなくて、首をかしげると直哉さんの綺麗な唇がかすかにほころぶ。

「なんでもないよ」

長い指で私の髪をくしゃくしゃとかき混ぜながらにこりと笑った。

「これから少しずつ、俺に慣れていってね」

そう言われ、私は頬を赤くしながら頷いた。





 
< 53 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop