極上社長と結婚恋愛
 

戸惑いながら受け取ると、工藤さんはぺこりと頭を下げ、まとめた枝や蔓を抱えお店から出ていってしまった。
慌てて追いかけお店のドアから顔を出して声をかける。

「工藤さん、ありがとうございます」

お礼を言うと、工藤さんは振り向きなにか考えるように立ち止まる。

どうしたんだろうと思っていると、「福原さん、引っ越ししたんですか?」と低い声でぽつりと聞かれた。

「あ、はい」

確かに先週、母と暮らしていたマンションから、直哉さんの部屋に引っ越した。
なんでそのことを知ってるんだろう。

「最近朝、いつもと違う方向から歩いてくるから」

不思議そうな顔をする私に、工藤さんがぼそりと言う。
偶然どこかで見かけたのかなと首をひねっているうちに、工藤さんはこちらにぺこりと頭を下げて歩いて行った。





 
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