極上社長と結婚恋愛
 


リビングで本を読んでいると、玄関の方でわずかに物音がした。
そしてガチャリと鍵が回る音。
私がパタパタとスリッパをならして廊下に出ると、スーツ姿の直哉さんがちょうど扉を開け入ってくるところだった。

「ただいま、あずさちゃん」

柔らかな笑顔に、少し照れながら挨拶をかえす。

「お、おかえりなさい」

一緒に暮らし始めて一週間がたつけれど、正直まだ慣れない。
直哉さんが帰ってくるたびに、緊張してしまう自分がいる。

「こうやって、家で待っていてくれる人がいるっていいね」

直哉さんが楽しげに言いながら、靴を脱ぎ廊下を歩いてくる。

「夕食は食べてこられたんですよね?」
「うん。今日は会食があったから。あずさちゃんはもう食べた?」
「はい」

直哉さんは社長ということもあって、打ち合わせをかねた会食やパーティーに呼ばれることが多い。早く帰れるときは連絡してくれるけど、それ以外は外で食べるのが普通だ。



 
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