極上社長と結婚恋愛
 
「わざわざお菓子を差し入れてくれるなんて、そのお客さんとは仲がいいの?」

隣に座る直哉さんに問われ、私は少し考えて答える。

「仲がいいというか、いつもお世話になってるんです」
「男の人?」

首を傾げた直哉さんに顔を覗き込まれて、その視線に緊張しながら頷く。

「木工雑貨を作るのに使うからって、お店で余った枝とか蔦を引き取ってくれるんです」
「へぇ、タダであげてるの?」
「はい。でも工藤さんはタダでもらうのは気が引けるみたいで、こうやってお菓子や雑貨をプレゼントしてくれたり、お店の陳列棚を作ってくれるんです。あと私が作った雑貨もネットで販売してくれたり……」

私が言うと、直哉さんは少し不満げに眉をあげた。

「そうやって、お金以外の部分で気を使われるくらいなら、最初から素材を売るようにしたら?」

いつも穏やかな直哉さんなのに、珍しく不機嫌な口調に驚く。


 
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