極上社長と結婚恋愛
「あ、そうですよね。気を使わせてしまって逆に迷惑かもしれないですよね」
私は不要なものを引き取ってもらうだけだから、お金をもらうことなんて考えなかったけど、工藤さんにしてみれば色々気を遣うのは逆に面倒なのかもしれない。
自分の気の回らなさに肩を落とすと、直哉さんは困ったような表情をした。
「そうじゃなくて。あずさちゃんは無防備だから、なるべく付け入る隙は作らない方がいい」
「隙、ですか?」
直哉さんの言っている意味が分からなくて首をかしげる。
すると、直哉さんの手がこちらにのびてきた。
子猫でもあやすように指の背で私のあごをなぞり、そのまま頬に触れる。
長い指の感触に緊張して身を固くすると、直哉さんが小さく息を吐くように笑った。
そして、何事もなかったように、指が頬から離れていく。
「そういえば、あずさちゃんも雑貨を作ってるんだ?」
話を戻され、すくめていた肩を下ろしながら頷く。