極上社長と結婚恋愛
「家族なんだから、得意なこと不得意なことは補って助け合うのは当たり前のことだと思うけど」
「……ですけど、私は直哉さんに助けてもらってばかりで、なんのお役にも立ててませんし」
頼りない私を心配する両親を納得させるために部屋に住まわせてくれて、私の男の人への苦手意識をなくすためにこうやって優しく接してくれて、直哉さんには頼りっぱなしだ。
すると直哉さんがソファの背もたれに片腕を付き、こちらに身を寄せる。
「俺は毎日おかえりなさいって言ってくれるあずさちゃんの笑顔に、十分癒されてるんだけどな」
そんな甘い言葉を囁かれ、さらに肩身が狭くなる。
なんと返していいのか分からなくて、眉をさげて直哉さんのことを見つめると、整った顔がくしゃりと崩れて笑顔になった。
「あずさちゃん、そんな困った顔しないでよ」
「す、すみません」
思わず笑ってしまうほど、情けない顔をしていたなんて。
恥ずかしくて慌ててうつむくと、ぽんと優しく頭をなでられた。
「じゃあさ、ホームページを作る代わりに、朝起こしてくれない?」
「朝、ですか……?」
直哉さんは、私の長い髪を指先でなぞりながら頷く。
「実は朝苦手なんだよね。蹴っても叩いてもいいから、起こしてくれる?」
微かに首をかしげて見つめられ、慌てて視線を落として頷いた。