極上社長と結婚恋愛
 
朝直哉さんを起こすようになって、たびたびこういうことがある。
本人は無意識で特に意味もないんだろうけど、男の人に不慣れな私にとっては本当に心臓に悪い。

朝が苦手だと自分でも言っていたけど、寝ぼけて人をベットに引き込んで抱きしめるってどうなんだろう。
前に直哉さんが自分はモテないなんて言っていたけど、あれは絶対嘘だなと心の中で思う。

「ごめんね。いやだったら言ってね」
「い、いやではないです」

抱きしめられた驚きと緊張で腰が抜けた私は、ベッドに手を付きながらよろよろと立ち上がる。

「本当に?」

寝起きだと言うのに欠点が見つけられないほど整った顔で、直哉さんがじっと私のことを見つめてくる。

「家族ですから」

私がそう言うと、直哉さんは「そっか」とつぶやき優しく頭をなでてくれた。




 
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