極上社長と結婚恋愛
 


ダイニングテーブルに向かい合い、「いただきます」と手を合わせる。


私が直哉さんを起こすようになってから、こうやって一緒に朝食を食べるようになった。

テーブルの上には、カブのお味噌汁と白いご飯。ベーコンと目玉焼き。そして、ほうれん草のおひたし。
ささやかでありふれた朝食のメニュー。

それを前に直哉さんが嬉しそうに箸を持つ。

「こういう食事に、憧れてたから嬉しい」

笑顔の直哉さんに不思議に思う。こんな素朴な朝食に憧れていたなんて。

「いつも朝食はどうしていたんですか?」
「コーヒーとパンとかシリアルとか、手軽に食べれるものを胃に入れてた」

胃に入れていたという答えに、苦笑いしてしまう。

「昔からですか?」
「離婚して母が出て行ってから親父と男ふたりで生活してたから、一緒に食卓を囲むことはほとんどなかったし、どうしても雑になるんだよね」

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