極上社長と結婚恋愛
「いろんな方法って?」
「水の中で茎を落としたり、ハンマーで叩いたり、火で焼く場合もありますし、ハーブなんかは葉裏から水分を吸収できるように逆さにしてお水をあげたりもするんですよ」
夢中になって話しながら、はっとして手を止める。
顔を上げると、直哉さんはお店のレジカウンターにもたれながらこちらをながめていた。
「すみません。こんな話、退屈ですよね」
花のことになるとつい長くなってしまう自分に恥ずかしくなる。
「ううん、退屈じゃないよ。見惚れてただけ」
優しく微笑まれて、ほっとしながら笑い返す。
「よかった。花が開いたらもっと綺麗なんですよ。花弁がいくつも重なるように綺麗に咲いて、香りもとてもいいんです」
手の中にある、つぼみの固いピンクの花。まだ眠たげな朝焼けのような、淡いバラ色のアンジェリークロマンチカを見せると直哉さんが首を横に振った。
「見惚れてたのはバラにじゃなくて、あずさちゃんにだよ」
「な……っ」