極上社長と結婚恋愛
「これはなに?」
「乾燥剤のシリカゲルです。ここにお花を埋めると水分が抜けてドライフラワーになるんです。つるして自然乾燥するよりも花の形が綺麗だし、色合いも濃く残るんですよ」
密閉容器の砂状のシリカゲルと埋まったアジサイを見せながら説明する。
「へぇ……。生花じゃなくドライフラワーでブーケを作るんだ」
「母が、落ち着いたイメージのブーケがいいと言うので。ドレスもクラシカルなデザインのものを着る予定らしいのでアンティークで優しい風合いが出ればいいなと思って」
アジサイだけでなく、ムスカリやミモザ、白いバラも一緒にドライフラワーにしていく。
これと生花を組み合わせてブーケや髪飾り、新郎の胸元を飾るブートニアを作るつもりだ。
私が話していると、柔らかく微笑まれた。
「すごくいい表情をしてる。あずさちゃんは本当に花が好きなんだね」
そんなにうかれた顔をしていたかなと、恥ずかしくなる。