極上社長と結婚恋愛
 

「す、すみません……! 家族写真のことをすっかり忘れてました!」

こんな格好で写真に写れない。
どうしよう、今から急いで家に帰って着替えて……、間に合うだろうか。

青ざめた私に、直哉さんがくすりと笑った。

「やっぱり、忘れてるだろうなって思ってた」

分かってたんなら、一言教えてくれてもよかったのに。
いたずらな笑みを浮かべる直哉さんに、そう思って頬を膨らませる。

すると、長い指が膨らんだ私の頬に触れた。

「大丈夫。あずさちゃんの服を用意しておいたから」
「え?」

驚いて目を丸くした私にうなずくと、直哉さんはお義父さんと母に向かって声をかける。

「家族写真は後からでも大丈夫?」
「あぁ。最初にふたりでの写真を撮るって言ってたから、大丈夫だよ」
「じゃあ、ゆっくり着替えようか」

そう言って歩き出した直哉さんの後ろを、戸惑いながらついていく。


 
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