cafe レイン

「なんて書いてあるのかわかんないのに返信できない」

「素直に見れていませんって言うしかなくない?」

「ブロックしていたのバレバレじゃん」

「あ。うん、まあ確かに」

「嫌な気持ちに……させちゃうよね」

ブロックしていたのは私なのだから、何を言っているんだって話だけど。
それでも、もう関わらないと決めてブロックしたのだから。

「今日また連絡来るかもじゃん」

「そうかな」

丸山さんがそう何度も連絡をくれるとは思えない。マメじゃないって自分で言っていたし。
よほど大事な連絡だったのかもしれない。そう思ったら、軽率な自分の行動を後悔した。

「でもさ、オーナーさん。楓が来てすごく嬉しそうだったね。私までご馳走になっちゃったし」

「そう、かな」

「あ、お礼連絡しておきなよ。それぐらいはこっちからしたっていいでしょ」

「……うん、そうだね」

乗り気ではなかったけれど、確かにご馳走になっているし。お礼は伝えておこう。

【ご馳走様でした。今日も美味しかったです。】

簡素なメッセージを送る。既読はつかない。それはそうだ。まだ列が続いている。いっぱいいっぱいでラインなんて見ている余裕はないだろう。
メッセージに―――また行きます、とは書けなかった。

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