cafe レイン
「あー、花?」
相手は……花さん?
「あのさ、レインが花の名前からとってるって何。お前が勝手に言っていただけじゃん。つか、小野寺さんに何勝手に話しかけてんの? 俺言ったよな? お前の気持ちには答えられないって。……はあ、知らねえよ。もう連絡してくんな。家にもくんなよ。じゃ」
まだ通話口からは声が聞こえていたけど、ぶちっと通話を切った丸山さんはケイタイを手にしたまま「はあ~~~~~~~」っと大きな溜め息をつきながらしゃがみ込んだ。
一連の行動を呆気に取られながら見ていた私は慌てて、丸山さんに声をかける。
「あの、丸山さん……?」
「あ~~~、もう本当に腹立つ」
「えっと、あの」
スクっと立ち上がると、真剣な顔をした丸山さんが私の腕を掴む。急なことに動揺を隠せない。
「率直に聞いていいですか」
「……」
返事をせず、私は丸山さんを見上げる。
「俺のこと、どう思ってますか」
店内がシンっと静まり返る。
射貫くように見つめる丸山さんに、ごくりと生唾を飲み込む。
「あー、質問変えます。俺のこと、好きですか」
「丸山さ……」
「答えてください」
有無を言わさない丸山さんに私は観念して
「……っ、好き、です」
途切れ途切れに答える。すると、丸山さんは途端に顔をくしゃりと歪めた。