cafe レイン

「あー、花?」

相手は……花さん?

「あのさ、レインが花の名前からとってるって何。お前が勝手に言っていただけじゃん。つか、小野寺さんに何勝手に話しかけてんの? 俺言ったよな? お前の気持ちには答えられないって。……はあ、知らねえよ。もう連絡してくんな。家にもくんなよ。じゃ」

まだ通話口からは声が聞こえていたけど、ぶちっと通話を切った丸山さんはケイタイを手にしたまま「はあ~~~~~~~」っと大きな溜め息をつきながらしゃがみ込んだ。

一連の行動を呆気に取られながら見ていた私は慌てて、丸山さんに声をかける。

「あの、丸山さん……?」

「あ~~~、もう本当に腹立つ」

「えっと、あの」

スクっと立ち上がると、真剣な顔をした丸山さんが私の腕を掴む。急なことに動揺を隠せない。

「率直に聞いていいですか」

「……」

返事をせず、私は丸山さんを見上げる。

「俺のこと、どう思ってますか」

店内がシンっと静まり返る。
射貫くように見つめる丸山さんに、ごくりと生唾を飲み込む。

「あー、質問変えます。俺のこと、好きですか」

「丸山さ……」

「答えてください」

有無を言わさない丸山さんに私は観念して

「……っ、好き、です」

途切れ途切れに答える。すると、丸山さんは途端に顔をくしゃりと歪めた。
< 115 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop