cafe レイン
「はあ……、もっと早くに言えばよかった。ほんっとヘタレな俺に心底幻滅しています」
私を掴んだ腕は離さないまま。
「俺、小野寺さんのこと好きですよ」
真っ直ぐにそう告げられて、私は何も言えずただ彼を見つめることしかできない。
「花のこと、誤解させたんだったら本当にすみません。俺が花を好きだったのは学生の時で、もう今はなんとも思っていないし、むしろ俺が言い寄られていて、断ってはいたんだけど気心しれていたってのもあったんで完全拒否はしていなかったんです。あー、でもそんなのも言い訳ですよね。小野寺さんはいい気持ちじゃないですよね。知らなかったとはいえ、花とのことでそんな風に勘違いしているなんて思ってなくて。俺のこと勝手に嫌っているもんだとばかり。はあ……でも俺好意あからさまに出していたのにな」
「そうだったんですか!?」
「気付いてなかったの!?」
「だって、お客さんと店員の立場じゃ迷惑だって」
「うっわー……言った。まさかそれ俺、勘違いさせた?」
こくりと頷くと丸山さんはがっくしと項垂れる。
「逆の意味だったんだけどな。小野寺さん以外そういう風に思っていないよ、て。でも小野寺さんはお客さんの立場だしわからないですよね。本当に俺、伝えるの下手くそだな」
「ふふ、本当ですね」
「はあ、笑うなって。結構本気で落ち込んでいるんだからな」
ぶすっとして答える丸山さんにどうしたって笑みが零れてしまう。今、話してみて丸山さんがすごく不器用な人だってことがわかった。