cafe レイン
「丸山さん」
「……ん」
「私も自分の気持ち伝えることに臆病になってました。でも、これからはちゃんと言います。考え込む前に」
「……うん。俺も伝えるようにする。あ、何かあったら電話して欲しいです。それか家か店に来て欲しい。文字打つのやっぱ得意じゃなくて、後で返そうって思いながらそのまま無視しそうだし。それで不安にさせたくない」
「わかりました」
「……でさ、今日俺の家の合鍵、渡したいんだけどいいかな」
「えっ」
目をぱちくりとさせる私に、丸山さんは気恥ずかしそうに顔を背けた。
「俺が家に来てって言ってんのに、外で待ちぼうけさせるわけにいかないでしょ」
「……はい」
「じゃあ、少し仕込みするから待ってて」
そう言うと、丸山さんは「おしっ」と気合いを入れながら明日の準備を始めた。
両想いだってことがわかって本当によかった。
気持ちを伝えてよかった。
相手が私の考えていることを理解してくれるなんて、ありえない。ちゃんと言葉にしないと伝わらない。
丸山さんにはちゃんと自分の気持ちを伝えようって私は心に誓った。