cafe レイン
「でも、俺はオーナーで、君はお客さんだったから。だから、あの日。君が男の人と一緒に来た時、本当に終わったって思ったよ」
「えっ、沖くんと来た時ですか?」
「そう。それは誤解だったってすぐにわかったけど。それからラーメン屋で会った時は、すっごくびっくりした。一人でカフェに来ていた君だったから、こういうがっつり系のラーメンとか食べにくるイメージなかったし。このチャンスを逃すかって店員さんに二人って勝手に言っちゃった」
あの時にはもう、私達両想いだったんだ。
「知れば知るほど君に惹かれていったんだ」
それは、私もだった。
丸山さんと話して、どんどんと新しい一面を知る度に彼が好きだなって感じた。
「大切にするから」
甘く優しい声色で彼が言った後、ゆっくりと顔が近付く。
「好きだよ」
私の唇に自分の唇を押し当て、離れた後。
感触を楽しむように。存在を確かめるように。
改めて彼の唇が私の唇に触れた。
ふ、と顔が離れた時、うっすらと目を開けた彼が開口一番。
「顔、真っ赤」
と、言ってニヤリと口角を上げて笑った。
「っ、だ、だって」
カッとして言葉を詰まらせながら反論しようとするが、またちゅっとキスを落として阻止される。
「~~~~~~!」
声にならない声をあげる私に丸山さんはケラケラと笑った。
「これ以上やったら怒られそうだから、やめておく」
「そうしてください」
むすっとして答えると、また丸山さんは楽しそうに声をあげて笑ったのだった。