cafe レイン

「わっかる~。昨日行ったけどまじで通いたいよね。こんな近場にあるとか思わないし」

「それ。混みすぎててすぐに入れないのが悔しいよね。仕事終わりじゃ店閉まってるし」

「連絡先とか聞いちゃダメかな~」

「彼女いんのかね」

目の前にいます、とは言えず、変な緊張が私を包んだ。
丸山さんって周りから見てもカッコいいんだなって思う。そうだよね、イケメンカフェ特集に取り上げられるぐらいだもんね。他薦だと思うし。
そうだよね、これだけあるカフェの中から選ばれるって相当だ。

私はもう一度、ケイタイを持ち上げると丸山さんとのトーク画面を開く。あれから五分も経っていないから、当然だけど私のメッセージは既読になっていない。私はそれから文字を打ち込んでいく。

【会いたいです】


純粋にレインのランチが好きだって人もいるだろうけど、あの行列のほとんどが丸山さん目当てかもしれないと思ったらどうしたって不安になってしまった。
私だってサンドウィッチが好きだってのは建前で、丸山さん目当てに通っていたのだから。

送ってもやっぱり既読にはならない。

はあ、と小さく溜め息をつく。モテる彼だってわかって好きになったし、私には手の届かない存在だって思っていた。何かあったらちゃんと言ってって彼は言った。
やっぱりさっきのは消そう。直接会ってしっかり伝えよう。

きっと丸山さんなら、嫌がらずに答えてくれる。

そう思った私はさっきのメッセージを削除した。
それから午後の仕事に入り、私は定時の時間まで業務に追われることになってケイタイを見る暇がなかった。
仕事終わり。ケイタイを確認すると、私は画面を見てぎょっとした。
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