cafe レイン
「あのさ。楓、なんで消したの」
「えっ」
なんのことかすぐにわからず、素っ頓狂な声をあげる。
「ラインのメッセージ。仕事中、ケイタイ見えるとこに置いているから。会いたいです、なんて通知来てテンション上がったのに」
「み、見てたんですか」
まさか見られているだなんて思わなかった私は動揺で彼の顔が見ることが出来ない。
「落ち着いてからどう返信しようかって開いたら消えてるじゃん。あの短時間で何があったの」
「それは」
口籠る私。丸山さんがモテるから不安になった、だなんて言えない。
答えられずにいると、丸山さんの眉が下がっていく。そして、悲しそうな瞳でこっちを見て口を開いた。
「……俺、なんでも言ってって言ったよね」
それに私はこくりと一度頷く。それから、彼を見上げる。真っ直ぐに私のことを見る彼に意を決して話し出した。
「笑わないでくださいね」
「うん」
「丸山さんがモテるから心配になって、あんなメッセージ送ってしまったんです」
「……うん?」
真剣に聞いていた丸山さんは意味が分からないといった様子で首を傾げた。
「会社に偶然丸山さんのこと話している人たちがいて、狙っている感じだったから私は彼女だぞって……ちょっとした独占欲が出てしまっただけです」
言っていてすごく恥ずかしい。