cafe レイン
「……は」
丸山さんは呆れてしまったのか、ぽかんと口を開けている。だから、私は誤魔化すように言った。
「あ、でもそんな心配も直接話せばいいんだって思ったらそのままにしておけなかったっていうか。消しちゃいました」
「…………」
黙ったままの丸山さんに心配になり、私は顔を見上げる。だけど、丸山さんは私から顔を背けて見えないようにしていた。
「丸山さん……?」
不思議に思って声をかけると、
「まっじで反則」
って、ぼそっと呟いた。
「え、何が」
「いいから早く俺の家行くよ」
「えっ」
丸山さんがそういう理由がわからず、私はハテナマークで頭がいっぱいになった。
半ば引っ張られるようにして駅に到着した。駅までの道中も、電車に乗っている間も丸山さんはあまり話さなかった。と、いうか私を見ないようにしている。
「あの、」
不思議に思って丸山さんに声をかけるが、「ん?」と小さく答えて、私をちらりと見るだけで、ずっと外を眺めている。何かしてしまったのか、不安になってくる。でも、何かしていたらきっと彼が教えてくれるはず。さっき私がラインのメッセージを取り消しした理由を伝えてからこうだ。
嫉妬が面倒だったのだろうか、とも思うけど私が何かしたとは思えず、モヤモヤが晴れない私は段々と気分が沈んでいく。
丸山さんの自宅がある最寄り駅に降車すると、また私は彼に引っ張られる形で自宅までの道を歩いた。